薄花色の休み時間

美術館とか、本とか、映画とか。愛しているものたちについて。

三島由紀夫「潮騒」と米津玄師「海と山椒魚」が合う

 三島由紀夫の「潮騒」を読みました。以下感想。

潮騒 (新潮文庫)

潮騒 (新潮文庫)

 

とにかく読んでいて、幸福な気持ちにさせられる小説でした。

少女マンガか!ってくらい、最初から最後までピュア。心が洗われました。

 

舞台は歌島。実在の島で、今は神島と呼ぶらしいです。

若く逞しい、寡黙だけど真面目で正直な漁師の新治と、愛らしくみんなの憧れの的、海女の初江。2人は愛し合ってるんだけど、小さな島なのに、小さな島だからこそ、いろいろあってなかなか進まない。でも最後にちゃんと結ばれる。

 

「潮騒」のいいところは、本気で嫌なやつは出てこないところだと思います。

歯がゆいんだけど安心して読み進められるというか。現実にはないかもしれないけど、誰もが心の中に持っている桃源郷みたいな世界。どきどきしながら2人の恋を見守る島の海女の気持ちで読みました。

 

モブの千代子も非常に人間くさくて好きです。

本当は新治が好きなんだけど、自分に自信がなくて嫉妬したり、意地悪な気持ちになったり、それをくよくよしたり。最後まで気持ち伝えずでしたけど、彼女の気持ちが少しだけ報われるシーンがあって、「よかったね!よかったね!(涙)」と胸がいっぱいになりました。

人生には、直接的に報われるものと、間接的に報われるものがあって、間接的に報われることのほうがいつまでも心に残ったりするものですよね。

 

こんな幸福な小説を書いたひとが31歳で割腹自殺したとは人生難しいですね。

海と山椒魚

海と山椒魚

 

というわけで、読んでる間に聞いていたのはこれ。

米津玄師の「海と山椒魚」。「潮騒」の世界観に非常に合っていました。彼自身、宮沢賢治とか三島由紀夫も好んで読んでいたそうなので、さもありなん。

「海と山椒魚」自体も井伏鱒二山椒魚」からきてそうだし(山椒魚は呼んだことない・・・)

 

この小説、映画にでもなってそうだな~と思ったら、やっぱりなっていました。

潮騒 [Blu-ray]

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 百恵ちゃんではないですか。百恵ちゃんの「伊豆の踊り子」は高校生のときに見たことあります。これも近々観ておこうと思います。